BRAND STORY
イエバスの歴史
「ハーブ」と言う名のイビサ島伝統のリキュール
イビサ島の家庭では、 200年以上前から、近隣で自生するハーブを採取し、 乾燥させて、 天然のアルコールに漬け込み、 薬草酒(リキュール) を作ってきました。 香りを楽しむことができ、 健康にも役立つその薬草酒はいつしか、 スペイン語で「ハーブ」を意味する「イエバス(Hierbas) 」 と呼ばれるようになりました。
開花植物のイラストレーション(1890年頃)
当時の一般的な薬草酒は癖が強く、飲みづらいものが多かったようですが、1880年代にフォルメンテーラ島出身のフアン・マリ・マヤンスが家族と共にイビサ島で最初の蒸留所を設け、ハーブのアロマや薬効についての研究と試行錯誤の末に、それまでにはなかった理想的な薬草酒を作り上げました。その芳醇な香りと優しい味わいの薬草酒はイビサやフォルメンテーラで評判を呼び、やがて島の内外からもイビサの名物酒として知られるように。
それから100年以上が過ぎ、マリ・マヤンス家のイエバスは、イビサ独自のハーブリキュール文化の発展と継承に貢献したことが認められ、1996年にスペイン・バレアレス政府によりお酒としては初めて、 「イビセンカス」(=イビサ産)の地理的表示(GI) を承認されました。 こうして今日の「イエバス・イビセンカス」は誕生したのです。
約140年前に創始者フアン・マリ・マヤンスが辿り着いた理想的なハーブリキュール。彼が書き残したそのオリジナルレシピは、現在もファミリーによって大切に保管されています。今や5代にわたって受け継がれ、その製法は140年以上、ほとんど変わっていません。唯一の目立った違いは、銅の蒸留機の火種が木材と石炭から、ガスバーナーに変わったことくらい。マリ・マヤンス家のイエバス・イビセンカス― イビサの太陽と海を想起させる深く爽やかな味わいは、今も自由を愛する人々とともにあり続けます。
自由の島、イビサとは?
1960年代には、世界中から数多くのヒッピーたちが自由を求めてイビサへ移住し、新たな潮流をもたらしました。スペインでは1936年から1975年までファシスト政府の統治が続き、抑圧された芸術家、作家や思想家たちは、本土から離れ、イビサへ逃れました。イビサは自由を求める人々を受け入れたラストリゾートだったのです。その流れは生き続け、イビサでは今でも60年代当時から続くヒッピーマーケットや個店を楽しむことができます。
バルセロナの南海の彼方、地中海に浮かぶスペイン領バレアリス諸島のひとつ。東京23区ほどのサイズの小さな島へ、夏のハイシーズンになると美しい自然や世界遺産、音楽や自由な気風を求めて、世界中から数百万人もの老若男女、多種多様な旅人が集います。
イビサの起源は紀元前7世紀に遡ります。地中海の東を根城にしていたフェニキア人がこの島を発見し、音楽やダンス、性愛を象徴する古代エジプトの神、ベスの名前にちなんでイブスム(ybsm)と呼んだことが始まりだとか。
発見当初から享楽的な名が冠された美しいこの島が、観光地としてヨーロッパの人々を魅了しだしたのはビーチリゾートが開発され始めた1950年代から。1930年に本土との定期フェリー便が運航してから20年、観光産業の成長はイビサに活況をもたらしました。
1970年代になると世界を暗くしたベトナム戦争が終結へと向かい、それと呼応するかのように世界中でクラブカルチャーが勃興。イビサでも、アメリカやヨーロッパのディスコシーンなどに影響をけたAmnesiaやPachaなど、数々のナイトクラブがオープンしました。
イビサで根付き始めていた自由なダンスカルチャーと呼応するように、1980年代初頭には「バレアリック・ビート」と呼ばれる、突き抜けた個性とその多様性を楽しむ自由なダンス音楽観が醸成されました。やがてバレアリック・ビートは「バレアリック・サウンド」へと背景を拡大して、自由を尊重するイビサの精神性をも表す象徴的なワードとなっていきます。
1990年代に入ると、イビサのナイトクラブシーンは本格的に大規模化を加速。古くからあるクラブの多くが超大型クラブへとリニューアルオープンし、世界中のトップDJとファンを虜に。
世界的な知名度の高まりとともに、1999年には国連UNESCOがイビザ島を 「人類の文化遺産と自然遺産の両方である複合遺産」として、世界遺産に登録。こうしてイビサは多様な価値を持つヨーロッパ屈指のリゾートアイランドとしての評価を確立しつつ、以降は世界的なダンス音楽の聖地と呼ばれるまでに発展していきました。
そのように、今ではマッシブなパーティーシーンや泡パーティー
などが語られがちなイビサですが、そもそもは地中海に浮かぶ美しい自然と古い街並みの島。壮麗なビーチや沈みゆく夕陽を眺めながら、大切なひとたちとゆったりとした時間を楽しむこともできます。とりわけ島全体が閑散とする11月~2月ごろのオフシーズンは、小さな子ども連れの家族にもおすすめです。そこに観光客の人混みやパーティーの喧騒はなく、イビサ城から眺める果てしない空と海、旧市街の落ち着いた街並み、空いてるカフェやレストランでの美味しい食事などを、自分や家族のペースで味わうことができます。イビサはいつでも、誰にでも開かれた自由の島なのです。